お見合い結婚時々妄想
そうして、見合い当日
乗り気ではないけれども、待ち合わせのレストランに向かった
昨日も父から電話があり
「これをきっかけに結婚を考えてみなさい。明日は気楽に行っておいで」
と、どっちつかずなコメントをくれて、ため息をもらした
レストランに着いて、店の人に名前を言って、案内してもらおうとしたところで、後ろから声が聞こえてきた
「皆川で予約されてるはずなんですが……」
後ろを見ると、割りと背の高い女性が立っていた
「もしかして、加山さんですか?」
「あっ、はい。加山です。皆川さん?」
「はい、そうです。じゃ行きましょうか」
席について、そこで初めてまともに彼女の顔を見た
僕の視線に気付いたのか、ニコッと笑って恥ずかしそうに俯いてしまった
その彼女の笑顔を見たとき、何故か心がざわついた
とりたてて、美人じゃないと思う
でも、彼女の笑顔をもっと見たいと思った
理由なんて分からないけど……
「はじめまして、加山祥子です。皆川……」
「皆川慎一郎です。はじめまして」
笑顔を向けると、顔を真っ赤にして俯いた
それにしても、色白だな
耳や首まで真っ赤だ
自分の容姿が整っているというのは自覚しているつもりだった
今まで付き合った人にも言われてきたし、部下からも
「部長は顔がいい分、冷静にしてるだけで、冷酷に見えます」
と、言われたこともある
「皆川さん、お仕事忙しいって聞きました。うちの母がごり押しして、そちらのお父さんにお願いしたんだと思うんです。本当にすいませんでした」
頭を深々と下げる彼女を見て、好感がもてた
「それに、母が会いなさいって言う方達って、私には分不相応で、申し訳なくて……」
「方達って、今までにも何回かお見合いを?」
「はい、皆川さんで5回目なんです。恥ずかしい話ですが……」
また俯いてしまった
そんなに俯かないで
もっと顔を見せて
思わずはっとした
今、僕は何を思った?初対面の女性にそんなことを思ったのも初めてだった
しかも、彼女は僕の好みなタイプでもなかった
動揺しているのを隠しつつ、運ばれてきた料理を会話をしながら食べた
その間も表情をコロコロ変えながら喋る彼女を見るのが楽しくなってきていた
そして、最後のデザートを待っているときに彼女は爆弾を落とした
「私、妄想癖があるんです」
「……は?」
何を言ってるんだ?
この人は……
「だから、そういうのがダメな場合は断ってくれても構いませんから」
タイミング良くデザートが運ばれてきたので、気をとりなおして、デザートをすすめた
「……とりあえず、食べましょうか。ここのデザートは美味しいって評判なんですよ」
彼女を伺いながら自分もデザートを食べようとしたその時、彼女の表情が一変した
嬉しそうな顔
美味しいそうな顔
ちょっと悩んでる顔
不安そうな顔
また悩んでる顔
きっと彼女は嘘がつけなくて、素直な人なんだろう
そう思ったら、自然に笑っている自分がいた
彼女がはっとして、不安な顔をして、僕の顔を伺う
大丈夫
そんなに不安にならないで
そんな思いを込めて彼女に言った
「お帰り」
まさかそんなことを言われるなんて思ってなかったんだろう
呆気にとられている彼女から出た言葉は
「ただいま」
だった
思わずぷっと吹き出した
「祥子さん、また会ってくれませんか?」
心底びっくりしてしている祥子さんを見て、声を出して笑ってしまった
祥子さん
覚悟しておいて
僕は君のことを手離すつもりもないからね
でも安心して
絶対に幸せにするから
この乗り気じゃなかったお見合いで人生の宝物を手に入れた
乗り気ではないけれども、待ち合わせのレストランに向かった
昨日も父から電話があり
「これをきっかけに結婚を考えてみなさい。明日は気楽に行っておいで」
と、どっちつかずなコメントをくれて、ため息をもらした
レストランに着いて、店の人に名前を言って、案内してもらおうとしたところで、後ろから声が聞こえてきた
「皆川で予約されてるはずなんですが……」
後ろを見ると、割りと背の高い女性が立っていた
「もしかして、加山さんですか?」
「あっ、はい。加山です。皆川さん?」
「はい、そうです。じゃ行きましょうか」
席について、そこで初めてまともに彼女の顔を見た
僕の視線に気付いたのか、ニコッと笑って恥ずかしそうに俯いてしまった
その彼女の笑顔を見たとき、何故か心がざわついた
とりたてて、美人じゃないと思う
でも、彼女の笑顔をもっと見たいと思った
理由なんて分からないけど……
「はじめまして、加山祥子です。皆川……」
「皆川慎一郎です。はじめまして」
笑顔を向けると、顔を真っ赤にして俯いた
それにしても、色白だな
耳や首まで真っ赤だ
自分の容姿が整っているというのは自覚しているつもりだった
今まで付き合った人にも言われてきたし、部下からも
「部長は顔がいい分、冷静にしてるだけで、冷酷に見えます」
と、言われたこともある
「皆川さん、お仕事忙しいって聞きました。うちの母がごり押しして、そちらのお父さんにお願いしたんだと思うんです。本当にすいませんでした」
頭を深々と下げる彼女を見て、好感がもてた
「それに、母が会いなさいって言う方達って、私には分不相応で、申し訳なくて……」
「方達って、今までにも何回かお見合いを?」
「はい、皆川さんで5回目なんです。恥ずかしい話ですが……」
また俯いてしまった
そんなに俯かないで
もっと顔を見せて
思わずはっとした
今、僕は何を思った?初対面の女性にそんなことを思ったのも初めてだった
しかも、彼女は僕の好みなタイプでもなかった
動揺しているのを隠しつつ、運ばれてきた料理を会話をしながら食べた
その間も表情をコロコロ変えながら喋る彼女を見るのが楽しくなってきていた
そして、最後のデザートを待っているときに彼女は爆弾を落とした
「私、妄想癖があるんです」
「……は?」
何を言ってるんだ?
この人は……
「だから、そういうのがダメな場合は断ってくれても構いませんから」
タイミング良くデザートが運ばれてきたので、気をとりなおして、デザートをすすめた
「……とりあえず、食べましょうか。ここのデザートは美味しいって評判なんですよ」
彼女を伺いながら自分もデザートを食べようとしたその時、彼女の表情が一変した
嬉しそうな顔
美味しいそうな顔
ちょっと悩んでる顔
不安そうな顔
また悩んでる顔
きっと彼女は嘘がつけなくて、素直な人なんだろう
そう思ったら、自然に笑っている自分がいた
彼女がはっとして、不安な顔をして、僕の顔を伺う
大丈夫
そんなに不安にならないで
そんな思いを込めて彼女に言った
「お帰り」
まさかそんなことを言われるなんて思ってなかったんだろう
呆気にとられている彼女から出た言葉は
「ただいま」
だった
思わずぷっと吹き出した
「祥子さん、また会ってくれませんか?」
心底びっくりしてしている祥子さんを見て、声を出して笑ってしまった
祥子さん
覚悟しておいて
僕は君のことを手離すつもりもないからね
でも安心して
絶対に幸せにするから
この乗り気じゃなかったお見合いで人生の宝物を手に入れた