お見合い結婚時々妄想
結婚が決まったあとは、大変だった
会社に報告すると、その日のうちに会社中に噂が広まり、社内どこを歩いても注目されるようになった
それが長い期間続くと、こっちだってたまったもんじゃない
「なあ相川、うちの会社はそんなに暇なのか?僕はただの一社員だろ?何故こんなに長い間注目されなきゃならないんだ?」
部下の相川健次と出先から戻ってきて、15階にある海外事業部のフロアに移動するだけで、痛いくらい視線を感じる
「うちの会社が暇なわけないです。それだけ部長が有名なんですよ」
「有名人になった覚えはない。もう、会社に結婚報告して1ヶ月はたったと思うが?」
「何言ってるんですか!将来有望な海外事業部の部長、顔もいい、仕事も出来る、性格は……ちょっと冷たいけど、F社の最後の独身……」
「もういい!分かった!」
「……なので、部長を密かに狙っていた女性社員は、まだ諦めがついてないと思われます」
「冷静に分析するな」
肩をすくめる相川と、エレベーターに乗り込むと、マーケティング部の進藤奈南美が乗っていた
マーケティング部は、14階にあるので、エレベーターが10階を過ぎる頃には進藤と相川の3人だけになっていた
「皆川部長、結婚なさるそうですね。おめでとうございます」
「ありがとうございます」
「お相手の方は……」
「プライベートなことなので。それに進藤さんには関係のないことだと思いますが?」
進藤の言葉をわざと遮った
相川は、勘弁して下さいよという顔をしていたが……
エレベーターが14階について、進藤は逃げるように降りて行った
扉が閉まると思わずため息をついた
「ため息をつきたいのはこっちですよ!彼女、元カノでしょ?関係ないはないでしょう!」
「だからと言って何故婚約者の事を教えないといけないんだ?」
「……部長、よく結婚できますね。俺、部長の婚約者に深く同情します」
心外だと思いながら、エレベーターから降りて、自分の席についた
そして溜まっている仕事にため息をつく
また今日も残業になりそうだ
今度、祥子さんにはいつ会えるんだろう?
案の定残業していると、スマホが鳴った
発信者を見てみると、祥子さんだったので、席にいるというのに思わず電話に出てしまった
「もしもし?」
「あっ、慎一郎さん。ごめんなさい、お仕事中ですよね。あの、友達がっ……ちょっと!美智子!」
「あなたが祥子の婚約者!?」
どうやらスマホを美智子という友達に取られたらしい
僕は祥子さんと話したいんだけど……
「はい、そうですが。どういったご用件でしょうか?」
あくまで、部下達には仕事の電話と思わせるようにしゃべっていた
美智子という人は、とにかく祥子さんを心配していて、こんなスピード結婚で大丈夫なのかとか、本当に祥子が好きなのかとか、捲し立てて、最後にはこう言い放った
「祥子を不幸にしたら、未来永劫、呪いますからね!!!」
我慢出来ず大爆笑してしまった
もちろん、部下達は僕を見てフリーズしている
多分、僕が大爆笑してることが信じられないのだろう
「美智子っ!何て事を!慎一郎さん、ごめんなさい!」
慌てて祥子さんが謝っているけど、まだ笑いが止まらなかった
「慎一郎さん?大丈夫?本当にごめんなさい!」
「いや、面白すぎて……祥子さん、お友達に伝えておいて?呪われることはしませんから、安心してくださいって。今日はそのお友達と飲んでるの?」
「はい、そうなんですけど……」
「そう。じゃ帰りは気をつけるんだよ。また電話するから。それじゃ」
電話を切る直前も祥子さんは、謝っていた
それも可愛くて、スマホを見ながら微笑んでいると、未だにフリーズしている部下達に目をやった
「何が言いたいんだ?君たち。僕が婚約者と話してて、笑っちゃいけないのか?」
至極冷たい口調で言い放つと、部下達はそれぞれ言い訳を言いながら仕事に戻った
また明日から注目浴びるだろうなと思うと、またため息が出た
会社に報告すると、その日のうちに会社中に噂が広まり、社内どこを歩いても注目されるようになった
それが長い期間続くと、こっちだってたまったもんじゃない
「なあ相川、うちの会社はそんなに暇なのか?僕はただの一社員だろ?何故こんなに長い間注目されなきゃならないんだ?」
部下の相川健次と出先から戻ってきて、15階にある海外事業部のフロアに移動するだけで、痛いくらい視線を感じる
「うちの会社が暇なわけないです。それだけ部長が有名なんですよ」
「有名人になった覚えはない。もう、会社に結婚報告して1ヶ月はたったと思うが?」
「何言ってるんですか!将来有望な海外事業部の部長、顔もいい、仕事も出来る、性格は……ちょっと冷たいけど、F社の最後の独身……」
「もういい!分かった!」
「……なので、部長を密かに狙っていた女性社員は、まだ諦めがついてないと思われます」
「冷静に分析するな」
肩をすくめる相川と、エレベーターに乗り込むと、マーケティング部の進藤奈南美が乗っていた
マーケティング部は、14階にあるので、エレベーターが10階を過ぎる頃には進藤と相川の3人だけになっていた
「皆川部長、結婚なさるそうですね。おめでとうございます」
「ありがとうございます」
「お相手の方は……」
「プライベートなことなので。それに進藤さんには関係のないことだと思いますが?」
進藤の言葉をわざと遮った
相川は、勘弁して下さいよという顔をしていたが……
エレベーターが14階について、進藤は逃げるように降りて行った
扉が閉まると思わずため息をついた
「ため息をつきたいのはこっちですよ!彼女、元カノでしょ?関係ないはないでしょう!」
「だからと言って何故婚約者の事を教えないといけないんだ?」
「……部長、よく結婚できますね。俺、部長の婚約者に深く同情します」
心外だと思いながら、エレベーターから降りて、自分の席についた
そして溜まっている仕事にため息をつく
また今日も残業になりそうだ
今度、祥子さんにはいつ会えるんだろう?
案の定残業していると、スマホが鳴った
発信者を見てみると、祥子さんだったので、席にいるというのに思わず電話に出てしまった
「もしもし?」
「あっ、慎一郎さん。ごめんなさい、お仕事中ですよね。あの、友達がっ……ちょっと!美智子!」
「あなたが祥子の婚約者!?」
どうやらスマホを美智子という友達に取られたらしい
僕は祥子さんと話したいんだけど……
「はい、そうですが。どういったご用件でしょうか?」
あくまで、部下達には仕事の電話と思わせるようにしゃべっていた
美智子という人は、とにかく祥子さんを心配していて、こんなスピード結婚で大丈夫なのかとか、本当に祥子が好きなのかとか、捲し立てて、最後にはこう言い放った
「祥子を不幸にしたら、未来永劫、呪いますからね!!!」
我慢出来ず大爆笑してしまった
もちろん、部下達は僕を見てフリーズしている
多分、僕が大爆笑してることが信じられないのだろう
「美智子っ!何て事を!慎一郎さん、ごめんなさい!」
慌てて祥子さんが謝っているけど、まだ笑いが止まらなかった
「慎一郎さん?大丈夫?本当にごめんなさい!」
「いや、面白すぎて……祥子さん、お友達に伝えておいて?呪われることはしませんから、安心してくださいって。今日はそのお友達と飲んでるの?」
「はい、そうなんですけど……」
「そう。じゃ帰りは気をつけるんだよ。また電話するから。それじゃ」
電話を切る直前も祥子さんは、謝っていた
それも可愛くて、スマホを見ながら微笑んでいると、未だにフリーズしている部下達に目をやった
「何が言いたいんだ?君たち。僕が婚約者と話してて、笑っちゃいけないのか?」
至極冷たい口調で言い放つと、部下達はそれぞれ言い訳を言いながら仕事に戻った
また明日から注目浴びるだろうなと思うと、またため息が出た