お見合い結婚時々妄想
私だけのもの
ある日のこと、夕食を食べているときに、慎一郎さんから頼み事があるんだけどと言われた
「えっ?パーティーに?」
「うん、そうなんだ。随分断ったんだけど……」
慎一郎さんがアメリカで勤務していた頃の取引先の担当者が、日本支社の支社長に就任することになり、お披露目を兼ねた就任パーティーをすると
だから、是非慎一郎さんにも出席して欲しいそうだ
それだけなら良かったんだけど、その支社長さんが、慎一郎さんが結婚したことを知り、是非夫婦で出席して欲しいと言ってきたらしい
「妻は会社の人間じゃないのでって何度も言ったんだけどね……」
「支社長さんって、アメリカ人……だよね?」
「うん……やっぱり断るよ。そういう場所に祥子を引っ張りだしたくないし」
そういう訳にはいかないだろうと言うのは、私でも簡単に想像できた
慎一郎さんが私に頼むこと自体、安易に断ることが出来ないんだろう
「慎一郎さん、私パーティーに出席します」
「祥子?」
「慎一郎さんと結婚するとき、こういうこともあるだろうなと、ちょっと覚悟してたから」
慎一郎さんは、大企業の部長さんだ
いずれは、役員になることは間違いないだろうと、結婚式の時に会社の人にも言われていた
だからなんとなく、そういう場所に夫婦同伴で行くこともあるのかなと、漠然と思っていた
「祥子……」
「慎一郎さん、ちゃんとフォローしてくれるよね?」
「当たり前。ありがとう、祥子……助かったよ」
『助かったよ』
そんな言葉を慎一郎さんから聞いたのは、初めてだった
本当に断れなかったんだというのが分かった
パーティーまで、あと1ヶ月半
慎一郎さんの足だけは引っ張りたくない
私は覚悟を決めた
「えっ?パーティーに?」
「うん、そうなんだ。随分断ったんだけど……」
慎一郎さんがアメリカで勤務していた頃の取引先の担当者が、日本支社の支社長に就任することになり、お披露目を兼ねた就任パーティーをすると
だから、是非慎一郎さんにも出席して欲しいそうだ
それだけなら良かったんだけど、その支社長さんが、慎一郎さんが結婚したことを知り、是非夫婦で出席して欲しいと言ってきたらしい
「妻は会社の人間じゃないのでって何度も言ったんだけどね……」
「支社長さんって、アメリカ人……だよね?」
「うん……やっぱり断るよ。そういう場所に祥子を引っ張りだしたくないし」
そういう訳にはいかないだろうと言うのは、私でも簡単に想像できた
慎一郎さんが私に頼むこと自体、安易に断ることが出来ないんだろう
「慎一郎さん、私パーティーに出席します」
「祥子?」
「慎一郎さんと結婚するとき、こういうこともあるだろうなと、ちょっと覚悟してたから」
慎一郎さんは、大企業の部長さんだ
いずれは、役員になることは間違いないだろうと、結婚式の時に会社の人にも言われていた
だからなんとなく、そういう場所に夫婦同伴で行くこともあるのかなと、漠然と思っていた
「祥子……」
「慎一郎さん、ちゃんとフォローしてくれるよね?」
「当たり前。ありがとう、祥子……助かったよ」
『助かったよ』
そんな言葉を慎一郎さんから聞いたのは、初めてだった
本当に断れなかったんだというのが分かった
パーティーまで、あと1ヶ月半
慎一郎さんの足だけは引っ張りたくない
私は覚悟を決めた