お見合い結婚時々妄想
番外編4 ダメな夫婦、ダメな両親
「祥希子〜ただいま。お父さん帰ってきたよ。今日も可愛いねえ」
「慎一郎さん、早く着替えきて?」
「まだ抱っこしてたい」
「ダメ」
「ダメ?」
「私の作ったご飯食べてくれないの?」
「……着替えてくる」
慎一郎さんを祥希子を受け取って、ほっぺを撫でながら私は呟いた
「困ったお父さんだねえ、祥希ちゃん」
最近笑顔が増えてきた娘に笑いかけながらベビーベッドへと寝かした
祥希子が産まれてからほぼ毎日繰り返されるこのやり取り
でも慎一郎さんの親バカっぷりはだんだんひどくなっている気がするのは、気のせいじゃないだろう
着替え終わった慎一郎さんがまた祥希子を抱っこしようとしていた
「慎一郎さん、ご飯食べて下さい」
私がちょっと怒ったように言うと、慎一郎さんは静かに、はいと言ってテーブルについてくれた
「慎一郎さん、祥希ちゃんが可愛いのは分かるけど、ちゃんとご飯食べてくれないと」
「ごめん、祥子。でも僕は祥希子をずっと抱っこしてたいんだよね」
「もう……」
私が呆れたように溜め息をつくと、慎一郎さんは私を見て言った
「だって、祥子は昼間も祥希子と一緒にいられるけど……」
「『僕は仕事で一緒にいられないから』でしょ?何回も聞いたよ、そのセリフ」
「だったら」
「お陰様で、慎一郎さんが家に居る時は祥希ちゃんの面倒を見てくれてるから、私は楽が出来て助かってるわ」
ちょっと不機嫌にそう言うと、慎一郎さんは目を丸くした
「祥子、怒ってる?」
「別に?」
「怒ってるよ」
「じゃ、怒ってるんじゃない?」
「祥子」
慎一郎さんが眉間に皺を寄せて私を見る
「祥子、言いたいことがあればちゃんと言って?」
箸を置いて私を見るので、私も箸を置いて口を開いた
「慎一郎さん、祥希ちゃんに夢中になりすぎ。そのせいで、いつも自分の事は後回しになってる」
「後回し?」
何の事?という感じで首を傾げるので、私はまた溜め息をついた
「今だって、着替えるのもご飯食べるのも後回し。朝だって、支度しなくちゃいけないのに、ずっと抱っこして。何回遅刻しそうになった?」
「それは」
「昼間も何回もメールで祥希ちゃんの様子を聞いてきて。ちゃんと仕事はしてるんですか?皆川部長さん」
「うっ」
「相川さんが困ってるって、奈南ちゃんが言ってたよ?」
「……あの2人、余計な事を」
「とにかく!」
私は慎一郎さんを睨んで言った
「こんな事が続くんなら、お風呂入れてくれる以外は、祥希ちゃんを抱っこさせませんからね!」
「そ、そんなぁ……」
慎一郎さんのこんな情けない声を聞いたのは初めてで吹き出しそうになったけど、我慢してまたご飯を食べ始めた
こんな事があって、しばらく経った週末、相川さんと奈南ちゃんが家に遊びに来た
「祥希ちゃん、皆川部長にそっくりだね」
「本当ですね。大きくなったら、モテるでしょうね」
「……モテなくていい」
奈南ちゃんが祥希子を抱っこして、相川さんがほっぺをつつきながら話しているのも、慎一郎さんは面白くないご様子
「慎一郎さん、2人はお客様なんだからそんな不機嫌な顔は失礼だよ」
「2人は会社の人間で、相川は部下だからね。愛想よくする必要はない」
「奈南ちゃんは私の親友で、相川さんは親友の彼氏です。私の旦那様は、私の親友達をもてなしてもくれない人だったのかしら?」
「だから、こうやってもてなしてるでしょ?」
「そうやって、ふんぞり返って座ってるのは、もてなしてるとは言いません」
ふんっと横を向く慎一郎さん
私はそんな慎一郎さんに溜め息をついて、奈南ちゃん達にごめんねと謝った
そんな私達を見て、2人はびっくりしていた
「何?喧嘩してるの?」
「珍しいですね。2人が喧嘩するなんて」
「違うの。ただ拗ねてるだけなの」
「拗ねてないし」
明らかに拗ねている慎一郎さんを見て、奈南ちゃんは吹き出して、相川さんは声を出して笑った
「会社の人達に見せてあげたいわね。拗ねてる皆川部長」
「俺、動画撮っておこうかな?」
面白がってる2人見ながら、溜め息をついてる慎一郎さんを見て、しょうがないなと思って言った
「慎一郎さん、奈南ちゃん達にケーキ出すから、祥希ちゃんの事お願い出来る?」
「抱っこしていいの?」
「ええ、お願い」
私がそう言うと、慎一郎さんは満面の笑みを浮かべて、奈南ちゃんから祥希子を奪い取るように抱っこした
「祥希子〜お父さんだよ〜。ほら外を見てごらん?いい天気だねえ」
慎一郎さんの豹変ぶりに2人は唖然としている
「奈南ちゃん、相川さん。ごめんね?ケーキ用意するから、こっちのテーブルに来てくれる?慎一郎さん多分、しばらく祥希ちゃんに夢中で、こっちの事は目に入らないと思うから」
「いいけど。どうしたの?」
「……あのね?」
2人に先日の出来事を話すと、一瞬声を出して笑ったけど、すぐに堪えるように笑いだした
「それで、最近会社でもイライラしてたんですね。部長」
「え?そうなんですか?相川さん」
「でも仕事に支障がない程度ですから大丈夫ですよ」
「本当にすいません」
私が恐縮して謝ると相川さんは気にしないでくださいと言ってくれた
「最近、慎一郎さんは祥希ちゃんに夢中で、私が話しかけてもちゃんと聞いてくれないし」
「祥ちゃんも構ってほしいの?」
「え?」
「寂しいんでしょ?部長を祥希ちゃんに取られたようで」
「そんなこと!」
思い切り否定していると、相川さんが可笑しそうに笑って言った
「でも、皆川部長もそんな事言ってましたよ?『最近、祥子が祥希子に夢中だ』って。もの凄く寂しそうでしたけどね。その時の部長」
「え?」
私が何も言えないでいると、奈南ちゃんがにっこり笑って言った
「祥ちゃんは部長の話、聞いてあげてる?」
奈南ちゃんの言葉に何も言えなかった
図星だったからだ
最近、慎一郎さんに話しかけられても祥希子に夢中で上の空だった
「じゃあ、祥ちゃんも部長のこと言えないわね」
「奈南美さん、祥子さんにそんなこと」
相川さんが奈南ちゃんをたしなめていると、祥希子の泣き声が聞こえてきた
「祥子、祥希子お腹がすいたみたいだ」
「あ、うん」
「あれ、どうかした?祥子」
首を傾げる慎一郎さんになんでもないと言って、祥希子を受け取って、寝室へ移動した
「はい、祥希ちゃん、おっぱいだよ。お腹すいたねえ」
夢中でおっぱいを飲んでいる祥希子を見て、自然と笑顔になる
「祥希ちゃん。お母さん、お父さんのこと大事にするって決めてたのに、してなかったみたい。お父さん、お母さんのこと許してくれるかなぁ?」
祥希子がおっぱいを飲みながら笑った
それを見て、また私も笑顔になる
「祥希ちゃんの笑顔は最強だね」
慎一郎さんにちゃんと謝ろう
そう心に決めた
寝室からリビングに行くと、奈南ちゃん達が帰り支度をしていた
「あら、もう帰るの?」
「うん。早く2人きりになりたいんだって」
「部長、一言余計です」
「本当ですよ。祥ちゃんと祥希ちゃんと水入らずになりたいのは、そっちの方じゃないですか」
「うるさいな、早く帰れよ」
「慎一郎さん、またそんなこと言って。2人とも、また来てね」
2人を見送るために、玄関へ向かった
「奈南ちゃん、ありがとう。ちゃんと話してみる」
私がそう言うと、奈南ちゃんは笑って頷いて、相川さんと帰って行った
リビングに戻って抱っこしていた祥希子を見ると、満腹になったからか眠っていた
「祥希ちゃんは本当に手の掛からない子だねえ。お母さんとは大違いだ」
そう言って祥希子をベッドに寝かせて、ソファーに座っている慎一郎さんの隣に座った
ふと隣を見ると、慎一郎さんが私の顔を除き込んでいた
「慎一郎さん、どうしたの?」
「いや。今、お母さんとは大違いって、どういうことだろう?って思ったから」
「ああ……」
私はふっと笑って言った
「ごめんね?慎一郎さん。私、最近祥希ちゃんに夢中で、慎一郎さんと話してなかった。それを祥希ちゃんのせいにした。それなのに、慎一郎さんにはキツイ事言ったから」
「祥子」
「慎一郎さん、ごめんなさい。私、慎一郎さんのこと、大事にするって言ったのに」
私が頭を下げると、慎一郎さんは優しく抱き締めてくれて、背中を撫でてくれた
「謝るのは僕も一緒だよ。僕も祥希子に夢中で、祥子と話そうとしなかった。それを祥希子にせいにした。ダメな夫でダメな父親だ」
「それなら、私も一緒。ダメな妻でダメな母親よ?」
私がそう言うと、慎一郎さんは両手で私の頬を包んで、額と額をくっつけた
「じゃ、ダメ同士の夫婦と両親ということで、仲直りしようか?」
「ふふっ。そうだね。仲直りだね」
慎一郎さんがにっこり笑うと、キスをした
「でも、ダメな両親じゃ祥希ちゃん可哀想ね」
「いいんじゃない?僕達だって初めて親になったんだから、祥希子と一緒に成長していこうよ」
「そうね。慎一郎さん、一緒に成長していこうね。祥希ちゃんのためにも」
そうして、2人で笑い合った
「慎一郎さん、早く着替えきて?」
「まだ抱っこしてたい」
「ダメ」
「ダメ?」
「私の作ったご飯食べてくれないの?」
「……着替えてくる」
慎一郎さんを祥希子を受け取って、ほっぺを撫でながら私は呟いた
「困ったお父さんだねえ、祥希ちゃん」
最近笑顔が増えてきた娘に笑いかけながらベビーベッドへと寝かした
祥希子が産まれてからほぼ毎日繰り返されるこのやり取り
でも慎一郎さんの親バカっぷりはだんだんひどくなっている気がするのは、気のせいじゃないだろう
着替え終わった慎一郎さんがまた祥希子を抱っこしようとしていた
「慎一郎さん、ご飯食べて下さい」
私がちょっと怒ったように言うと、慎一郎さんは静かに、はいと言ってテーブルについてくれた
「慎一郎さん、祥希ちゃんが可愛いのは分かるけど、ちゃんとご飯食べてくれないと」
「ごめん、祥子。でも僕は祥希子をずっと抱っこしてたいんだよね」
「もう……」
私が呆れたように溜め息をつくと、慎一郎さんは私を見て言った
「だって、祥子は昼間も祥希子と一緒にいられるけど……」
「『僕は仕事で一緒にいられないから』でしょ?何回も聞いたよ、そのセリフ」
「だったら」
「お陰様で、慎一郎さんが家に居る時は祥希ちゃんの面倒を見てくれてるから、私は楽が出来て助かってるわ」
ちょっと不機嫌にそう言うと、慎一郎さんは目を丸くした
「祥子、怒ってる?」
「別に?」
「怒ってるよ」
「じゃ、怒ってるんじゃない?」
「祥子」
慎一郎さんが眉間に皺を寄せて私を見る
「祥子、言いたいことがあればちゃんと言って?」
箸を置いて私を見るので、私も箸を置いて口を開いた
「慎一郎さん、祥希ちゃんに夢中になりすぎ。そのせいで、いつも自分の事は後回しになってる」
「後回し?」
何の事?という感じで首を傾げるので、私はまた溜め息をついた
「今だって、着替えるのもご飯食べるのも後回し。朝だって、支度しなくちゃいけないのに、ずっと抱っこして。何回遅刻しそうになった?」
「それは」
「昼間も何回もメールで祥希ちゃんの様子を聞いてきて。ちゃんと仕事はしてるんですか?皆川部長さん」
「うっ」
「相川さんが困ってるって、奈南ちゃんが言ってたよ?」
「……あの2人、余計な事を」
「とにかく!」
私は慎一郎さんを睨んで言った
「こんな事が続くんなら、お風呂入れてくれる以外は、祥希ちゃんを抱っこさせませんからね!」
「そ、そんなぁ……」
慎一郎さんのこんな情けない声を聞いたのは初めてで吹き出しそうになったけど、我慢してまたご飯を食べ始めた
こんな事があって、しばらく経った週末、相川さんと奈南ちゃんが家に遊びに来た
「祥希ちゃん、皆川部長にそっくりだね」
「本当ですね。大きくなったら、モテるでしょうね」
「……モテなくていい」
奈南ちゃんが祥希子を抱っこして、相川さんがほっぺをつつきながら話しているのも、慎一郎さんは面白くないご様子
「慎一郎さん、2人はお客様なんだからそんな不機嫌な顔は失礼だよ」
「2人は会社の人間で、相川は部下だからね。愛想よくする必要はない」
「奈南ちゃんは私の親友で、相川さんは親友の彼氏です。私の旦那様は、私の親友達をもてなしてもくれない人だったのかしら?」
「だから、こうやってもてなしてるでしょ?」
「そうやって、ふんぞり返って座ってるのは、もてなしてるとは言いません」
ふんっと横を向く慎一郎さん
私はそんな慎一郎さんに溜め息をついて、奈南ちゃん達にごめんねと謝った
そんな私達を見て、2人はびっくりしていた
「何?喧嘩してるの?」
「珍しいですね。2人が喧嘩するなんて」
「違うの。ただ拗ねてるだけなの」
「拗ねてないし」
明らかに拗ねている慎一郎さんを見て、奈南ちゃんは吹き出して、相川さんは声を出して笑った
「会社の人達に見せてあげたいわね。拗ねてる皆川部長」
「俺、動画撮っておこうかな?」
面白がってる2人見ながら、溜め息をついてる慎一郎さんを見て、しょうがないなと思って言った
「慎一郎さん、奈南ちゃん達にケーキ出すから、祥希ちゃんの事お願い出来る?」
「抱っこしていいの?」
「ええ、お願い」
私がそう言うと、慎一郎さんは満面の笑みを浮かべて、奈南ちゃんから祥希子を奪い取るように抱っこした
「祥希子〜お父さんだよ〜。ほら外を見てごらん?いい天気だねえ」
慎一郎さんの豹変ぶりに2人は唖然としている
「奈南ちゃん、相川さん。ごめんね?ケーキ用意するから、こっちのテーブルに来てくれる?慎一郎さん多分、しばらく祥希ちゃんに夢中で、こっちの事は目に入らないと思うから」
「いいけど。どうしたの?」
「……あのね?」
2人に先日の出来事を話すと、一瞬声を出して笑ったけど、すぐに堪えるように笑いだした
「それで、最近会社でもイライラしてたんですね。部長」
「え?そうなんですか?相川さん」
「でも仕事に支障がない程度ですから大丈夫ですよ」
「本当にすいません」
私が恐縮して謝ると相川さんは気にしないでくださいと言ってくれた
「最近、慎一郎さんは祥希ちゃんに夢中で、私が話しかけてもちゃんと聞いてくれないし」
「祥ちゃんも構ってほしいの?」
「え?」
「寂しいんでしょ?部長を祥希ちゃんに取られたようで」
「そんなこと!」
思い切り否定していると、相川さんが可笑しそうに笑って言った
「でも、皆川部長もそんな事言ってましたよ?『最近、祥子が祥希子に夢中だ』って。もの凄く寂しそうでしたけどね。その時の部長」
「え?」
私が何も言えないでいると、奈南ちゃんがにっこり笑って言った
「祥ちゃんは部長の話、聞いてあげてる?」
奈南ちゃんの言葉に何も言えなかった
図星だったからだ
最近、慎一郎さんに話しかけられても祥希子に夢中で上の空だった
「じゃあ、祥ちゃんも部長のこと言えないわね」
「奈南美さん、祥子さんにそんなこと」
相川さんが奈南ちゃんをたしなめていると、祥希子の泣き声が聞こえてきた
「祥子、祥希子お腹がすいたみたいだ」
「あ、うん」
「あれ、どうかした?祥子」
首を傾げる慎一郎さんになんでもないと言って、祥希子を受け取って、寝室へ移動した
「はい、祥希ちゃん、おっぱいだよ。お腹すいたねえ」
夢中でおっぱいを飲んでいる祥希子を見て、自然と笑顔になる
「祥希ちゃん。お母さん、お父さんのこと大事にするって決めてたのに、してなかったみたい。お父さん、お母さんのこと許してくれるかなぁ?」
祥希子がおっぱいを飲みながら笑った
それを見て、また私も笑顔になる
「祥希ちゃんの笑顔は最強だね」
慎一郎さんにちゃんと謝ろう
そう心に決めた
寝室からリビングに行くと、奈南ちゃん達が帰り支度をしていた
「あら、もう帰るの?」
「うん。早く2人きりになりたいんだって」
「部長、一言余計です」
「本当ですよ。祥ちゃんと祥希ちゃんと水入らずになりたいのは、そっちの方じゃないですか」
「うるさいな、早く帰れよ」
「慎一郎さん、またそんなこと言って。2人とも、また来てね」
2人を見送るために、玄関へ向かった
「奈南ちゃん、ありがとう。ちゃんと話してみる」
私がそう言うと、奈南ちゃんは笑って頷いて、相川さんと帰って行った
リビングに戻って抱っこしていた祥希子を見ると、満腹になったからか眠っていた
「祥希ちゃんは本当に手の掛からない子だねえ。お母さんとは大違いだ」
そう言って祥希子をベッドに寝かせて、ソファーに座っている慎一郎さんの隣に座った
ふと隣を見ると、慎一郎さんが私の顔を除き込んでいた
「慎一郎さん、どうしたの?」
「いや。今、お母さんとは大違いって、どういうことだろう?って思ったから」
「ああ……」
私はふっと笑って言った
「ごめんね?慎一郎さん。私、最近祥希ちゃんに夢中で、慎一郎さんと話してなかった。それを祥希ちゃんのせいにした。それなのに、慎一郎さんにはキツイ事言ったから」
「祥子」
「慎一郎さん、ごめんなさい。私、慎一郎さんのこと、大事にするって言ったのに」
私が頭を下げると、慎一郎さんは優しく抱き締めてくれて、背中を撫でてくれた
「謝るのは僕も一緒だよ。僕も祥希子に夢中で、祥子と話そうとしなかった。それを祥希子にせいにした。ダメな夫でダメな父親だ」
「それなら、私も一緒。ダメな妻でダメな母親よ?」
私がそう言うと、慎一郎さんは両手で私の頬を包んで、額と額をくっつけた
「じゃ、ダメ同士の夫婦と両親ということで、仲直りしようか?」
「ふふっ。そうだね。仲直りだね」
慎一郎さんがにっこり笑うと、キスをした
「でも、ダメな両親じゃ祥希ちゃん可哀想ね」
「いいんじゃない?僕達だって初めて親になったんだから、祥希子と一緒に成長していこうよ」
「そうね。慎一郎さん、一緒に成長していこうね。祥希ちゃんのためにも」
そうして、2人で笑い合った