お見合い結婚時々妄想
新婚生活
新婚旅行から帰って、二人の生活が始まって1ヶ月


なんとか新生活にも慣れてきた
この1ヶ月でわかったこと……


とにかく慎一郎さんは忙しい!
夜遅くなることは当たり前
一応は週休2日らしいけど、お休みの日に呼び出されて会社に行くなんてこともあった


たまに疲れた顔をしてるのを見て心配になると、それを見た慎一郎さんが逆に心配しちゃったり……


まあ、そんなこんなで
今日も慎一郎さんを送り出す為に朝ごはんの準備
そろそろ慎一郎さんを起こさないと……


寝室へ行き、慎一郎さんがまだ寝ているベットに座って声をかける


「慎一郎さん、朝ごはん出来たよ。起きて」


ん、とまだ寝ぼけ気味の慎一郎さんがゆっくりと目をあけた


「おはよう、慎一郎さん」
「……おはよう」
「起きれる?」
「…うん、起きるよ」


そう言って起き上がったので、私は再び台所へ
慎一郎さんがテーブルについて、一緒に朝ごはんを食べはじめる


「前から思ってたけど祥子って、料理上手いよね」
「そう?子供のころから台所に立ってるから、慣れてるだけですよ、きっと」


そう、私の父親は私が小学生の時に病死して、それから母親が女手一つで兄妹3人を育ててきた
必然的に仕事が忙しい母に変わり、料理をしていたのだ


「そう言えば、お義母さん言ってたよ。『祥子には楽な結婚生活を送らせてあげたかったから、見合い相手は条件がいいのを選んでた』って」
「お母さんそんな事言ってたの?確かに条件だけはよかったな、みんな……」
「へぇ、そうなんだ……」


いやいや、そんな探るような顔されても困りますよ、慎一郎さん!


「過去の見合い相手のことは、今度ゆっくり聞くとしよう。ごちそうさま。今日は早く帰って来れると思う」
「ホント?じゃ晩御飯は気合い入れて作るね」
「うん、期待してる」


慎一郎さんを見送る為に一緒に玄関へ向かう


「行ってらっしゃい、気をつけてね」
「行ってきます」


そしてキスしてにっこり笑顔
慎一郎さんは出勤していった


行ってらっしゃいのキスも大分慣れてきた
最初の頃は慎一郎さんが家を出る度に、ひゃーと声をあげ、しばらくトリップしていたものだ


午前中のうちに掃除洗濯を済ませ、そろそろお昼ご飯をと思ってると、電話がかかってきた


「はい、皆川です」
「美智子だよ~。元気そうだね祥子」
「美智子!?何、どうしたの?珍しいねこんな時間に。仕事は?」
「仕事で祥子の家の近所まで来たからさ。一緒にランチでもしないかと思ってさ。ちょっと出てこない?」
「行く行く~。じゃ、駅で待ってて。すぐ行くから」
「はいは~い」


兵藤美智子とは、学生時代からの友達だ
私が結婚すると報告した時も


「祥子!相手の人に今すぐ電話して!どんな人か確かめるから!!」


と言い出し、慎一郎さんと携帯がつながると、私から携帯を取り上げ、まだ会ったこともない慎一郎さんに言いたいことをまくし立て、最後には


「祥子を不幸にしたら、未来永劫、呪いますからね!!!」


と言い放ったのだ
慌ててすぐに美智子から携帯を取り上げ、慎一郎さんに謝ろうとしたら、電話の向こうで慎一郎さんは大爆笑してた


「呪われることはしませんから、安心してくださいって言っておいて」


と笑いながらも言ってくれた


「あの時は絶対婚約破棄されると思ったよ、本当に。さてと、出掛けよっと。美智子に会うのも久しぶりだし」


急いで支度を済ませ駅に向かった
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