失恋の傷には媚薬を
いつも里奈には感謝だ
私のことを心配してくれる
『里奈、飲みに行こう』
「え?今日ですか?」
私から誘うことなんてまずない
だからか、かなりびっくりした顔をしている
無理ならまたにする、というと
里奈は、ヤダヤダヤダ、行く行くと
私の腕をガッチリ掴んできた
『じゃ、残業無しで頑張ろう』
そう言って私と里奈は
仕事を再開させた
こんなに楽しい気持ちになったのは
いつ以来だろうか
ただ毎日を過ごし
一生一人だと思ってきた日々が
嘘のように思えてくる
これも部長のおかげかな
クシャッとなってしまった資料を手で伸ばし
映画のチケットを取り出し
いつも持ち歩いているポーチに入れた