失恋の傷には媚薬を
亮平さんが?
あの子、と?
ホテル街へ?
見間違いではないか、と思う前に
私は思ってしまった
『また、裏切られた』
『結局、亮平さんも同じだ』と…
「…ら、……、笹倉、」
「楓先輩、呼ばれてますよ」
『…えっ、あ、うん、ありがとう』
あれからどうやって戻ってきたか覚えていない
仕事もあまり手につかず進んでいない
『お呼びでしょうか?』
私を呼んだのは
亮平さん…ではなく
亮平さんのデスクの横の課長だ
「これ、間違ってるぞ。ミスなんて珍しいな」
『えっ、申し訳ありません。すぐやり直します』
ミスするなんて…
公私混合はしない、と気を引き締めて
再度仕事に取り組むが
その後も何度もミスをしてしまう