失恋の傷には媚薬を
「何があった?」
それは就業時間ギリギリ
飲み終えた来客用のカップをさげ
給湯室で洗っていたところに
突然やって来た亮平さん
「なんか、変だぞ?ミスはするし、反応が遅い。何より顔色が悪いぞ」
『…そ、そうかな?そんな日もあるよ』
問い詰めたい
ハッキリさせたい
でも、怖い気持ちが勝ってしまった
亮平さんに何も聞けない
「熱は?」
そう言いながら
亮平さんの手が私の頭へ伸びてきたが
反射的に亮平さんの手をかわしてしまった
『ご、ごめん。でも、ここ、会社だから…』
まさか私がかわすとは思っていなかったのか
亮平さんは驚いた顔をしていたが
「悪い、会社だったな」と理解してくれた