失恋の傷には媚薬を
「昨日はすまなかった」
一息入れようと
給湯室で自分用のお茶を煎れていた時
ご馳走さん、という声とともに入ってきた亮平さん
『ううん、接待ゴルフ、お疲れ様』
「まじ疲れた。疲れが抜けねーの、何のための休みなんだって話だよ。っつーか、楓の作ったビーフシチュー、食べたかった…マジで」
そう言われると
昨日の沈んだ気持ちが嘘のように上がっていく
「来週は大丈夫だから」
『うん、じゃあ…ビーフシチューね』
「俺も手伝うよ、土曜の夜に」
これから会議だと言って
またいそいそと行ってしまった
でも少しの時間だが
亮平さんと二人で話ができてよかった
靄が晴れようとしていた