失恋の傷には媚薬を
マイナスな考えはダメ
亮平さんのことを信じていこう
そう決めたのに、
その決意が今、崩れようとしている
私は、見てしまったのだ
見間違いではない
それは木曜日のこと
定時に上がり
里奈と駅へ向かっていた
「降ってきましたね、急ぎましょう」
夜中、雨予報になっていたが
こんなに早く降るのは予想外
私と里奈は小走りで駅へ向かった
走っていたらドン、と誰かと肩がぶつかってしまった
ごめんなさい、と振り返り謝罪をする
相手も悪い、と走り去って行った…のだが
私はそこから動けなくなっていた
視界からぶつかった相手が消え
そのかわりに視界に入ってきたカップル
亮平さんの傘に入る…玲奈の姿だ