失恋の傷には媚薬を


「だから、何なんだよっ」



イライラしている亮平さん
見てはいないが
そんな亮平さんは初めてだ



「18時過ぎ、部長は誰といましたか?」



「は?誰と?わかんねーよ?」



「…なら、質問を変えますね。部長は誰を自分の傘に入れてましたか?」




そう、昨日は雨
部長の傘にあの女がいたんだ
ヘナヘナと床に座り込む

あの光景が蘇ってしまった



「…楓、見たのか?」



亮平さんの声
動揺を隠しきれていない
それは亮平さんが
玲奈と一緒にいた証拠だ



「お二人のことですから、私がとやかく言える立場ではありませんが…今はそっとしておいでください」



お願いですから、と
里奈の声を最後に二人の会話は終えた

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