失恋の傷には媚薬を
見間違いではなかった
亮平さんは認めたんだ
心のどこかで
違って欲しいと思っていた
でも…
「先輩、また熱が上がってきちゃいましたね」
『…ごめんね』
ごめん、と言葉に出すと
視界がぼやけてしまう
泣きたくないのに
勝手に涙が溢れてしまう
「少し冷やしましょうか」
里奈は何事もなかったかのように
私の額…ではなく
瞼の上に冷たいタオルを置いてくれた
「シャワー、借りますね。ゆっくり休んでください」
パタン、としまったドア
里奈の気配が消えると
声が漏れるほど涙が溢れてくる
もう二度と味わいたくなかった失恋
信用していた分、傷はさらに深い