失恋の傷には媚薬を
が、反射的に
自分の手を引っ込めてしまった
「…楓、」
『あ、ごめんなさい。大丈夫だから』
亮平さんの目が見れない
でも、弱々しい声に
こっちが悪いことをしている気分になってしまう
お茶、煎れ直します
そう取り掛かると待ったをかけてきた
「楓が見たものは嘘ではない。確かに俺は玲奈と一緒にいた、でもそれは…」
『やめてっ』
私が見たのは真実、
あの女と一緒にいたことを認めた
どんな理由であれ言い訳は聞きたくない
そう、言い訳はたくさんだ
『聞きたくない…もうたくさんよ…』
「楓先輩っ」
今にも泣き崩れそうな私のところに
里奈が駆け寄ってきてくれた