失恋の傷には媚薬を
いつも穏やかで優しい顔の周先生
その人が
亮平さんの胸ぐらを掴み
殴りかかろうとする勢い
亮平さんも
いつものような優しい感じではなく
周先生を睨みつけている
「現に傷ついてんだろ?あんな楓ちゃんは二度と見たくない…だから俺は念を押したよな?やっと…やっと立ち直ってくれたのに、」
周先生には家族とのことを話しているから
その事を言っているんだろう
亮平さんは私の過去を知らない
噂で耳にしているだろうと
私からは話したことはない
「なんだ、お前。随分楓に入れ込んでるな、惚れてたか?」
亮平さんの吐き捨てた言葉に
周先生は無言で亮平さんの頬を
殴りつけてしまった