失恋の傷には媚薬を


周先生の車に乗るのは初めてではない
あの頃、よく送ってくれた



『車、替えたんですね』



前はコンパクトカー
今は大きなワゴン車
しかも女の影がありって感じだ



『助手席に乗って大丈夫ですか?勘違いされたりしません?』



「なにそれ?大丈夫だよ」



そうなんだ、と思いながらも
なんだか申し訳なく思う
それよりも気になることがある
でも聞いていいものなのかと
躊躇していると
周先生が察して話してくれた



「俺と亮平は、小学校の時の同級生なんだ。小中と一緒だった。俺らはクラスも部活も一緒で、家も行き来するくらい仲よかったんだ」


そんな昔からの知り合いなんだ、と驚く反面
仲よかったんだという過去形に疑問を抱いた

< 159 / 362 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop