失恋の傷には媚薬を
あることを思い出した
元婚約者はドライブが好きだった
色々な場所に連れてってくれて
それを両親や姉に報告すると
決まって姉は「羨ましいわ〜」と言っていた
「お休みは何をしてるの?」
『基本、日曜日だけです。何も用事がなければ楓さんと過ごしてます。楓さんが作る料理もお茶も大好きなんです』
お茶?と姉は不思議な顔をした
ちょうどお母さんがお茶を煎れてきた
「楓が煎れてくれたお茶もうまいが、母さんのだって負けてないぞ」
お父さんの言葉に驚いた
亮平さん以外にお茶をおいしいと言ってくれた
姉はちんぷんかんぷんな顔をしている
今思えば
小さい頃、毎朝忙しい母に変わり
父にお茶を出していたことを思い出した