失恋の傷には媚薬を


「会ってなかったのなら、きちんと楓と向き合って話すべきです。ただ、俺は無関係です。2人の問題は2人にしかわからない。それと、勘違いでしたら申し訳ありません…お姉さんを見ていると楓と話したいっていう感じには思えません」




亮平さんも感じていたのだろう
父や母は亮平に頭を下げ
姉にも頭を下げるよう言っていたが
姉はそんなことを言われると思っておらず
見るからに不機嫌だった



また帰ってくる、と約束をし
私たちは玄関を出る

姉に会ったのは誤算だったが
両親に会えたこと
亮平さんを紹介できたことは満足だ



「楓、気をつけてな」


『うん、お父さんもお母さんも、またね』



2人に見送られながら
亮平さんの車に乗り込もうとした

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