失恋の傷には媚薬を
「俺は…、詩織さんに利用された、だけ?」
小さく落胆した声が聞こえた
姉の理不尽な感情で
振り回された、被害者だろう
健ちゃんはガックリ肩を落としていた
「利用された?違うな、君は楓を裏切ったんだ。楓に深い傷つけた。…まあ、君と別れたから今はこうして俺の横にいる」
それは感謝する、と
付け加えながら私を抱き寄せた
そう、今は亮平さんがいる
だから、大丈夫
『健ちゃん…、私…、健ちゃんが大好きだった。健ちゃんとずっと生きていくって思っていた…、だからショックだった。でも、心のどこかでお姉ちゃんが相手なら仕方がないって思ったの。お姉ちゃんが幸せなら私が身を引こうって…』