失恋の傷には媚薬を
『お姉ちゃん…大丈夫かな』
お父さんがお姉ちゃんに
手をあげるなんて思いもよらなかった
多分、初めてだろう
叩かれたお姉ちゃんも
その場にいたお母さんも
驚いていた
「あれは、愛の鞭だ」
わかってる、
わかってるんだけど…
「それにしても、今日はすごい日だった」
『うん、…ごめん』
亮平さんには本当に申し訳ない気持ちでいっぱいだ
両親に紹介する、それだけのつもりだった
なのに姉が突然の帰宅、そして、
「楓の元婚約者の面も見れた」
そう、一番の誤算は健ちゃんだ
正直、会いたくなかった
お姉ちゃんが呼んだってことは
まだ繋がっていたということに
少なからずショックを受けていた