失恋の傷には媚薬を
そして
亮平さんは行ってしまった
最後までデスクにはおらず
部署への挨拶だけ
しかも簡単なもので去って行ってしまった
「あーぁ、送別会、したかったなー」
残念そうな里奈
それは里奈だけではない
短い期間だったが亮平さんを慕う部下は多くいた
「先輩の送別会はやりますから」
にっこり笑顔の里奈が幹事をしてくれて
他の部署の人にも声をかけているらしく
結構な人数だと里奈は嬉しそうに言っていた
亮平さんのアパートも引き払い
今日からアパートへと帰る
慣れた道なのに
久しぶりに通る道はなんだか寂しい
亮平さんの存在が
私の中でかなり大きくなっていることを実感する
2週間後には亮平さんに会える
それまで頑張ろう
そう言い聞かせた