失恋の傷には媚薬を



「そんな怖い顔しなくたっていいじゃない」



『…用がないなら帰って』



笑いながら話してくる姉に
怒りさえ覚えてきた
下手に刺激されたら何されるかわからない
そう思っていたが
姉の顔を見ていたらイライラしてきた



「あら?引っ越しって、もしかして彼と一緒に住むつもり?」



『…アナタには関係ない』



バレたくない気持ちで
動揺を抑えながら
早く姉にここから出て行ってもらうことを考えた



「ふーん、そう。いいわね、…羨ましいわ」



私の答えなんて関係なしに
姉は勝手に話しだした



「楓はいいわね、誰からも好かれて…あ、楓の武器かしら?男にチヤホヤされたいわよね」

「男は騙される。楓を守ってあげたくなる。私より楓を…」


あの人だって、あの彼だって、と
私の知らない人の名前が次から次へと出てきた

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