失恋の傷には媚薬を


バタン、と激しい音を立てて閉じた玄関ドア
急いで鍵とチェーンをつけた


姉が帰った
それだけで安堵する
もう姉はここには来ないと思う
姉が来る頃には
私はこのアパートにはいないから




『なら、何故?お姉ちゃんは独身なの?健ちゃんも達彦も私よりお姉ちゃんを選んだのなら、結婚していてもいいんじゃない?もう何年経ってると思ってるの?』



亮平さんと実家へ行った時
姉が健ちゃんを呼び寄せ
修羅場を作ろうとしたが失敗

あの時の健ちゃん
何一つ、変わっていなくて
私が誕生日プレゼントした腕時計
クリスマスプレゼントした鞄

もう何年も経ってるし
それに前に健ちゃんは
新しい彼女ができたら
彼女に失礼だから
昔の女のプレゼントは処分するって…


だけど健ちゃんは使っていた

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