失恋の傷には媚薬を
なんのため、だったのだろうか…
「…っ、…うぅっ、」
そこには涙を流している父と
声も出ないのかわからないほど
泣き崩れている母がいた
母が泣き崩れている側には
数時間前に会ったばかりの姉の姿
でもそれは
あの発狂した姿の姉ではなく
目をつぶったままの変わり果てた姿だった
『…ど…。どう…して、』
父から連絡が来てすぐ駆けつけた
見たくれなんて関係ない
財布が入った鞄だけを持ち外へ出て
タクシーを拾い
到着するまで
心臓の音がうるさくて
何度も
何かの間違いであってほしい
そう願わずにはいられなかった
でも、その願いも虚しく
現実は残酷で
さらにまた残酷な事実を知ることになる