失恋の傷には媚薬を
「服毒自殺…?」
姉は何かしらの薬物を飲み
自殺を図った
司法解剖の結果
致死量をはるかに超える量を飲み
遺書のようなものが残されていた
父は担当の女の刑事さんの話に動揺が隠せず
母はまた泣き崩れてしまった
姉はビジネスホテルで寝泊りをしていて
部屋から大きな物音が聞こえ
たまたま通りかかったホテルの従業員が
不審に思い姉の部屋を訪れたという
急いで救急車を呼んだが
間に合わなかったのだろう
それと、もう一つ
そう言って刑事さんはあるものを私たちに見せた
「鞄の中に入っていました」
それは
母子手帳
まだ真新しくいものだった
姉は妊娠をしていた
でも、まだ…小さい
父も母も知らなかった事実に
何も言葉が出なかった