失恋の傷には媚薬を
警察署に何時間いたのだろうか
気がついたら日が変わり
太陽が昇っていた
ひとまず一度、帰ることにした
帰ると言っても実家にだ
姉を迎える準備をしなくてはならない
それに
憔悴しきっている母を放っては置けない
父の運転する車で
家路へと急いだ
帰路の途中
憔悴しきっていた母が突然話し出した
「…あの子、妊娠、していたのね」
「…健ちゃん、かしら?」
私も気にはなっていた
誰の子供を妊娠したのだろうか?
母が言うように健ちゃんなんだろうか?
わかっていても
少なからずショックを受けてしまう
『健ちゃんに、連絡するね』
私がそういうと
母は弱々しく「お願いね」と言い
窓の外へと目線を向けていた