失恋の傷には媚薬を


「えっ…、詩織さんが?…妊娠?」



実家に戻り
父から健ちゃんの連絡先を聞き
電話に出た健ちゃんに経緯を伝えると
言葉に詰まり、動揺を隠せない

姉の死はもちろん
妊娠も驚いていた



ここ数日、健ちゃんも姉と連絡が取れなくて
心配していたと言う
姉が妊娠していた事を問うと知らないと言ってきた



「俺、詩織さんとはもう、そういうのやめたんだ」



そういうの?
健ちゃんは姉の彼氏じゃないのかと聞くと
違うと返ってきた



「俺はただ利用されただけ。楓と別れて椿さんと1年くらい…そのあとはそういうのはしていない」



お腹の子供の父親は、健ちゃんじゃない
なら、誰?
利用された?

頭が混乱する中
健ちゃんじゃないことにホッとする自分もいた
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