失恋の傷には媚薬を
最後に見た姉の顔は
笑っているように見えた
両親は姉の顔を
いい顔だった、と言って見送っていたが
私は違う
「楓、こっちに来るのを伸ばしてもいいぞ?」
『……えっ?』
亮平さんの言葉に一気に私の心は不安になる
「いや、お義姉さんが亡くなられて、楓もご両親もたいへんだろ?少し実家で休めたらーー」
『いやっ、なんでそうなるの?』
亮平さんの言葉を最後まで聞かず
私は亮平さんの胸へと飛び込んだ
不安でたまらない
もしかしたら
亮平さんもいなくなってしまうかも
これも全て
姉のせいだ…
もう、私の心は
姉への悲しみや疑問なんてどうでもよく
憎しみへと変わってしまっていた