失恋の傷には媚薬を

姉が私を恨んでいたように
私も姉を恨むようになっていた


姉が生きていたら
私たちの関係はもっと最悪だっただろう
姉がいなくなって
心のどこかでホッとしている自分がいる



「詩織の部屋、整理しなきゃ…」



何度も口に出す母
だが、一向にしようとはしなかった
突然の死を受け入れられないのだろう



『私がやっておくから、休んでいて』



「ありがとう、助かるわ」



母を気遣うふりをして、私は姉の部屋へと向かう
姉が何を考え、どう生きて来たのか
正直言うと興味があった

どんな気持ちで
妹の彼氏や婚約者をとったのか、
そのあと、どんな生活をおくったのか…
知られたくない秘密もあったのだろう、と思うと
なぜか口元がニヤケてくる

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