失恋の傷には媚薬を


心地がいい風に
気持ちも穏やかで
私の右手は亮平さんの左手と繋がり
石段を一段一段登っていく

今までだったら
足取りが重たかったと思うが
亮平さんと一緒だから大丈夫だ



「やっぱり、お義父さん達も誘った方が良かったんじゃないか?」


『いいの。今日は泊まるって言ったら、二人とも張り切ってたし、今頃きっと酒だ料理だって大騒ぎよ』


お姉ちゃんの御墓参りを終えたら
実家へ行く予定だ
亮平さんは父と約束していた
お酒を一緒に飲む事を言ってくれて
今日は実家へ泊まることになった

私が御墓参りに行くから場所を教えて欲しい、と母に言うと、母は泣きながら喜んでいた
母はあまり変わらなく
姉が一番なんだと思うが
それでも構わないと思う

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