失恋の傷には媚薬を
なぜ
達彦がお姉ちゃんのお墓を知っているのか
どうして
達彦が目の前にいるのか
全く理解ができない
「…今、付き合ってるひと?」
その視線は私ではなく
隣にいる亮平さんへと向いていた
『うん…。』
聞かれると思わず
短い返事で返す
「楓、少し話せるか?」
そう私に言ったはずだが
達彦の視線は変わらず亮平さんへ向けられている
それに気がついているのか
いつのまにか亮平さんの手は
私の腰へとまわされている
『…話ならここで聞くわ』
これが一番良い選択
そう思い答えると
達彦は「楓、変わったな」と呟いた
達彦はお姉ちゃんのお墓を見ながら
私と別れた後の事を話し出した