失恋の傷には媚薬を


『お姉ちゃんに何か用なの?』



そんな話を聞いて
何故、お姉ちゃんのお墓の前にいるのか
全くわからなかった
用が済んだら
とっとと帰ってほしい


「亡くなった、て聞いて…楓のお父さんが教えてくれて…楓が結婚することも、」


「後悔ばかりだ」



なかなか動こうとしない達彦
いい加減にして、と声に出そうとした時
亮平さんが私の手を引き歩き出す


「悪いけど、そこ、退けてくれる?」


亮平さんの表情は私から見えないが
達彦は無言で後ずさりをした
二人で簡単な掃除をし花を生け
お線香をたき手を合わせた


お姉ちゃん、…ごめん
ちゃんと話し合えば良かった
そしたら私達は変われたのかもしれない

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