失恋の傷には媚薬を
『…亮平さん、』
声をかけた
シャワーの音が消え
目の前の磨りガラスに影が動く
『…私も、入って…いいかな』
恥ずかしくて小声になってしまった
が、その声が届いたのか
勢いよく入口が開いた
湯気が勢いよく飛び出し
濡れている亮平さんからは
いつもと違う妖異な雰囲気を感じた
「もう、我慢できねぇ」
その声が聞こえたと同時に
引き寄せられ
強引にキスをしてきた
そのキスはいつもの優しいキスではなく
今にも食べられそうな勢いのキス
息もまともに出来ず
でも、離れたくなくて
自分からキスをしていた
もっと、もっと…と
亮平さんも私も
いつも以上に求めあっていた