失恋の傷には媚薬を


亮平さんの嫉妬心に
私の気持ちは満たされていた

初めて見る亮平
まだまだ知らない亮平さんがいたことを
嬉しく思う


「楓の希望はあるの?」


『んー、特にないんだよね』



そうなの?と残念そうに
パンフレットを見ている母

リビングでは
父と亮平さんが楽しそうに
お酒を飲んでいる


『お姉ちゃんなら、どれを選んだかな?』


「そうねぇ、詩織なら「楓には赤が似合うから打掛は赤ね」て、言いそうね」


『え?和装?チャペルじゃないの?』


「やっぱりウェディングドレスもいいわねぇ」


と、母は嬉しそうに
また新たなパンフレットを眺めている

来年、お姉ちゃんの一周忌が済んだら
私達は結婚式を挙げる
その準備を今から始めているのだ

< 358 / 362 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop