失恋の傷には媚薬を
亮平さんの嫉妬心に
私の気持ちは満たされていた
初めて見る亮平
まだまだ知らない亮平さんがいたことを
嬉しく思う
「楓の希望はあるの?」
『んー、特にないんだよね』
そうなの?と残念そうに
パンフレットを見ている母
リビングでは
父と亮平さんが楽しそうに
お酒を飲んでいる
『お姉ちゃんなら、どれを選んだかな?』
「そうねぇ、詩織なら「楓には赤が似合うから打掛は赤ね」て、言いそうね」
『え?和装?チャペルじゃないの?』
「やっぱりウェディングドレスもいいわねぇ」
と、母は嬉しそうに
また新たなパンフレットを眺めている
来年、お姉ちゃんの一周忌が済んだら
私達は結婚式を挙げる
その準備を今から始めているのだ