失恋の傷には媚薬を
忍び寄る影
鍵が見つかったこと、
そしてそれが備品室のゴミ箱にあったことを
横峰部長へ伝えた
「備品室?またなんでそんなところに…」
『わかりません。備品室は基本、総務の人間しか出入りしないと思います』
総務の?と
横峰部長は何か考えている様子だ
安心ではないが
鍵も見つかったので
一度、部屋へ戻ることにした
部長、立会いのもとでだ
『意外と心配性なんですね』
「意外ってなんだよ」
『いや、心配性というかお節介に近いですよ。でも、部長柄モテる理由の一つでもありますね』
「お?笹倉に褒められた。俺に惚れ」
惚れたか、と言いたかったのだろう
『それはありません』と言うと
クッと笑い、なんだか嬉しそうだ