失恋の傷には媚薬を



まさか自分の姉に
彼氏を取られるなんて思わなかった

いつから?
二人がそういう関係になって
知らぬ顔で
私に接してたってこつと?



『心の中で笑っていたんでしょっ!?』



バン、と
ダイニングテーブルを叩きつけた
お母さんと昔のアルバムを見ながら
談笑でもしていたのだろう
二人はどうしたの?と驚いている



知ったかぶりの顔、
昨日まであんなに大好きだった詩織お姉ちゃん
でも今日は憎たらしく思える


『ピアスの留め具、落ちてたよ』



「え、あ、ありがとう。失くしたと思ってたの、良かった」



詩織お姉ちゃんが手を出してきた
その手に留め具を置く


『達彦の部屋にあったわ』

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