失恋の傷には媚薬を
終いには涙を流していた
その涙を拭う姿を見て
私の中で何かが切れてしまった
俯いている詩織お姉ちゃんの髪の毛を掴み
顔を無理やり上げた
『人の男を取っておいて、悲劇のヒロイン気取りかよっ!何が違うの?説明してよ!?私の目を盗んで達彦と会っていたのは事実。 ピアスの留め具が達彦の…ベッドにあったのも事実…』
本当はソファにあった
でも私はカマをかけた
そうであっと欲しくない
何もなかった、て期待したんだ
でも詩織お姉ちゃんは
それにまんまと引っかかってしまった
「…ごめん、楓。そんなつもりは、なかったの…。魔がさした、て言うか…」
詩織お姉ちゃんが認めた
少しの期待がなくなってしまった