失恋の傷には媚薬を


「これ、多分…高いですよ?」


月曜日、さすがに指輪は持って行けず
写メを撮り里奈に見せた
それなりのブランドなのはわかっていたが
そこまで高いとは思っていなかった


『荷作りしたら出て来たのよ。質屋にでも入れて引越しの資金にしようと思って』


「昔で言う「給料3ヶ月分」を遥かに超えてますよ?これ買うくらいなら、覚悟持てって話ですよね!…、あ、すみません」



申し訳なさそうな里奈に
大丈夫よ、と笑いかける
それほどの高価なものなんだ
でも、持っていても意味がない



『やっぱり売ろう!』


「何売るんだ?」



背後から声がし、
これでもかってくらい身体がビクついた

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