失恋の傷には媚薬を
ロッカーも変えてもらい
それからは被害がない
部屋の鍵も大家さんに言って替えた
引越しも問題なく済みそうだ
そう思ったらホッとする
「特に問題はないか?」
退社時、丁度会社を出たところで
横峰部長とばったり鉢合わせた
打ち合わせで外へ出ていた部長
これからデスクワークだと思うと
お茶の一杯くらい
煎れてあげたくもなる
『はい、おかげさまで何事もないです』
「引越し、いつだ?手伝うぞ?」
『いえ、大丈夫です。あとは業者に頼もうかと思ってますから』
わかった、お疲れさん、と
会社へと戻って行った部長
お疲れ様でした、と私も帰ろうとした時
背後から視線を感じた
でも振り返っても誰もいない