girls
今の状況を一言で現すとするなら、諸行無常の響きあり、これに違いないんだよなぁ。

徒然なるままにひぐらし、も良いかも。

あ、二言になっちゃったか。

と言ってもこんなに言葉がすぐ出てくるなんてちょっと文才あるのかも?

浮かれた気持ちと一向に減る兆しの無いペーパーとすり減る指紋。頭が痛くならない程度に自分に問いかけては廊下に目をやる。菊川君との出来事からまだ1日も経ってない。

反対側の窓から勢いよく流れてくる風が普段隠れていた膝に触れて涼しい。浮き立つ心を少し穏やかにしてくれる気がした。


「先輩!上の空ですよ!大丈夫ですか?」

菊川君のデスクが空いているので廊下に出たのは間違いなくて。だから戻ってくるかなぁなんて期待しつつ明らか廊下に目を配ってしまっている私、に話しかけてきたのは今年二年目の後輩成生高道君だった。

「あ~なんか、う~ん終わんないんだよねぇ」

内心ヒヤッとしたものの先輩の貫禄?いやそんなものはまだないペーペーだけど。を見せておきたくなって…

シュレッターのせいにしました。

「確かに、その量は終わりませんね!俺今からお昼行くんで食べ終わったら代わりますよ!」


うわ…優しい。優しさの1ミリ。いや1センチでも私は今見習いたいと思ったよ!!!


「いいの!?」

「良いですよ、良いって言ってるんですから!」

成生君が微笑みながら私の指にソッと触れて絡めた。

思わずドキッとして、それでいて、ヒヤリとした。

「な、何…?」

頬が意図も簡単に熱くなる。
しゃぶしゃぶ肉を、熱湯に入れる感じ。
色が変わったと自覚するほどに膨張しそう。

「先輩、こうしないと俺の事見てくれないから」

「え、あ、えっと…職場の人が…」

「居ませんよ、皆お昼ですから。それに見えません、影なので」

成生君は不敵に笑った。
成生君って…私の事が…んーと…好き…な…訳ないよね?

「からかうのは良してよ~」

ソッとどけ返した。

「ああ先輩お昼終わっちゃいそうなんで行きますね」

成生君は何事も無かったかのようにウインクをしてから走り去っていった。
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