×princess misfortune×
プロローグ
「安田くん……浅野さんのことが好きなんだって」
「西田くんも浅野さんが好きって言ってた……」
「えっ……?」
放課後の校庭。
鉄棒の前で輪になってるのは女の子の仲良しグループ。
話題は好きな男の子のこと。
誰が誰を好きで、誰かは誰かが好きで……。
これだけで二時間は喋れるっていうんだから女はすごい……。
小学校の高学年の女の子ならよくありがちな話題だ。
ただ違うのは、
空気がやたらに重たいこと。
それもそのはず……。
みんなの片想いの彼たちは一同に声を揃えて、
「浅野さんが好き」
っていうんだから、みんな心中穏やかでは居られない。
みんなの視線の先には、
どこに居たって目をひくほどの絶世の美少女、浅野 聖偉(せい)。
美しい二重に、程良く高い鼻、桜色の唇に、栗色の柔らかい髪に………………とにかく可愛いのだ。
ずば抜けて。
黙って立ってるだけで男子たちは彼女にメロメロ……。
それ故に、
必然的に妬まれてしまうのが世の常。
「わたしはそんなつもりない」
って、否定すればただの嫌味。
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