×princess misfortune×
癒し係……?
次の日の放課後。
樹野くんの呼び掛けで、うちのクラスも遅ればせながら文化祭の準備が始まった。
さすがに人気者は伊達じゃない。
クラス全員にそれぞれ役割を割り振って、具体的な指示も素早く出す。
その隣でぼんやり教室を見渡してるだけのわたしに、意味はあるのだろうか……。
そんな風にぼんやりしていたわたしに、
「じゃあ、聖偉ちゃんは俺と一緒に家庭科室で必要な道具とか借りて来よ」
全員に指示を出し終えたところで、わたしに振り返った樹野くんは、こう言ってわたしの手を取った。
わたしたちも行く~!!
って言って調理係に任命された女子の何人かもついて来た。
こうして、家庭科室で食器やら調理道具を品定めしてたわたしに、
「だいたいっ、どんな手使ったわけぇ?」
「そうだよっ! なんで浅野さんが推薦されちゃうの~」
「……知らない。樹野くんに聞いてよ」
絡む女子たち……。
樹野くんが居た道中は、散々隣を陣取ってはしゃいでたのに、
「奥でカーテン用の布見てくるよ」
って、樹野くんが居なくなった途端これ……。