×princess misfortune×
「勝手に好きになってくるの」


なんて言った日には、次の日から即無視。



そんな聖偉を可哀想に思った男子たちがチヤホヤチヤホヤするもんだから女子たちはますます面白くない……。



世にも恐ろしい悪循環、泥沼地獄の出来上がり。



つまりは、何言ったって無駄。




嫉妬と羨望の前に、彼女の主張など意味を持たない。




だったら……。



貝になるしかない。



物言わず頑なに口を閉ざした貝に……。


但し、



海の底でひっそり佇む貝になるつもりなんて聖偉にはサラサラなかった。



どうせなるなら、



ヴィーナス誕生の絵にも描かれてるくらい、



デッカくて、綺麗で、存在感のある貝。



いつだって自分を強く持ち、



賢く口を閉ざした美しい貝になる。




……そう胸に誓った十二歳の秋。




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