×princess misfortune×
嫉妬じゃない。ヤキモチだ
お料理教室も二日目。


「今日はレアチーズケーキとフルーツサンドね」


昨日は思わぬアクシデントに見舞われたから、火を使わないメニューを提案。



とりあえずゆっこ&尋香にフルーツの缶詰めを開けるように指示を出して、しばらく大人しくさせておく。



「聖偉ちゃんもなかなか仕切り上手」



相変わらず傍観者に徹している樹野くんを無視して、わたしは氷水を張ったボウルを高橋くんに差し出した。



「昨日のメレンゲ上手だったから、今日もお願いしていい?」


わたしから泡立て器を受け取った高橋くんは、やっぱり黙って頷いてくれる。



「じゃあ、わたしがボウル持つから生クリーム混ぜて」



こうして、わたしと高橋くんは生クリームを泡立て始める。


しばらく無言で、とにかくシャカシャカ混ぜていた高橋くんが、



「なんで氷水重ねるの?」



不意に尋ねてきた。

気を遣って話しかけてくれたのかも。



無口な高橋くんからの可愛らしい疑問に、ちょっと笑いそうになる。



「こうやったら泡立つの早いんだって」

「へぇー。なるほど」


それからはしばらく、他愛ない会話を交わした。
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