×princess misfortune×
クラスメートなら当たり前なのに、



今までそんな当たり前を積み重ねてこなかったわたしには、これが新鮮。



「うんっ。上手く出来た」

「売り物みたいだな」

「高橋くんが作ったんじゃない」



出来上がった生クリームを見て、小さく笑い合う。


他には?


って言う高橋くんに甘えて、もう一個生クリームを泡立てて貰おうとしたら……。


「俺がやる。高橋代わって」



例の傍観者が、ご丁寧にもエプロンをつけて背後に立っていた。


なんの気紛れ?


わたしが頼んだってやらないって言ったくせに。


腹立たしい……。



「……樹野くんは手伝わないんでしょ?」


ムカついたから嫌味で返したら、


「今日は言ってないよ?」



爽やか笑顔でサラッと屁理屈を返してきた……。



やっぱり腹立つなぁ……コイツ。



「じゃあよろしくね」


新品の生クリームを開封して、樹野くんに差し出す。


生クリームを受け取った樹野くんは制服の袖を捲り、泡立て器を握った。



なにやる気出しちゃってんの……。



ホント鬱陶しいヤツ。


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