×princess misfortune×
「アンタさぁ、まだそんな格好してんの? マジでキモい」


妙に高い声が、離れてるわたしにまで聞こえてくる。


肩を竦めて震えてる実哉。



「その女装癖、治んなかったんだぁ?」



如何にもバカっぽい笑い声がそこら中に響いた。


もう限界。


無視して、実哉連れて帰ろうと思ったけど…………無理。



「あっ! 浅野ちゃー……っっっ!?」


駆け寄って来たわたしに気付いたゆっこが、困った顔でわたしを呼んで声を失った。



多分、目の前に居た女の子の顔面に買い物袋がぶつかったから。



正確にはぶつけたんだけど…………わたしが。



「久しぶり」



自分でもわかるくらい、わたし今すごく無表情だ。



買い物袋がぶつかって(ぶつけられて)喚いてる彼女たちに、わたしは詰め寄った。


「ゲッ! 浅野 聖偉!? めんどいの来た!!」


って、超ブサイクな顔で吐き捨てて行く背中にもう一発ぶつけてやろうかと思ってやめた。



だって……。



「卵割れちゃった」



中身考えずに投げたら卵が全滅してた。



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