×princess misfortune×
「生クリームとかは冷蔵庫に入れとくよ」



買い出しの荷物の片付けも終わり、あとは冷蔵庫に入れとく物だけになった。




帰り道に事故で無くなったチョコレートと卵を、ゆっこ&尋香に買いに行かせた。


「十分以内に帰ってきたら樹野くんがハグしてくれるって」


って言ったら、キャーキャー騒ぎながら来た道を引き返していく単純な二人……。



高橋くんと実哉にお礼を言って、先に教室に戻るように促した。




誰も居なくなって、家庭科の隅っこにある冷蔵庫の前にしゃがみ込んだ途端、



大粒の雫が、板張りの床に落ちていく。



……やっぱり悔しい。



今だって昔だって、実哉は何もしてない。



ただ自分に素直に生きてる人間が、傷つくのが嫌だった。



それに、怒り任せに噛み付くことしか知らない自分も歯痒かった……。



周りを侮蔑して、


どうせわかってもらえないって……思い込みが、わたしの世界を小さくしてたんだ。




「よく我慢したねぇ。偉い偉い」



柔らかい声と、



温かい感触がわたしをすっぽり包んでしまった。


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