×princess misfortune×
「木下 実哉は女だ」


沈黙を破った声に、その場に居た全員が視線を向けた。



そこには、いつもより険しい顔した高橋くんが居た。



なんで高橋くんっ!?


って、思ったよねぇ……。

クラスみんながそんな顔をしてる。



実は高橋くんは、みんなよりちょっと早めに知ってたんだ。



この前行った買い出しの後。



ゆっこ&尋香がもう一回買い出しに行って、


わたしが樹野くんに…………これはいい。いらない。



二人で家庭科室から教室に戻る中で、実哉自ら打ち明けたらしい。



涙ながらに話す実哉に、


やっぱり黙って頷く高橋くんは、


黙って実哉を受け入れてくれたらしい。



そんな高橋くんの声が皮切りになった。

「実哉ちゃんは正真正銘に女だよっ!」

「そうよっ! こんな綺麗なブーケだって作れちゃうんだからっ!!」


実哉と一緒に飾り付け用のブーケを作ってた女の子たち。



「俺は木下さんに惚れてた!」


「俺もだ!」


この場を借りて盛大な告白を始めるヤツも居たっけ?





バカで他力本願で……うるさくて鬱陶しいだけって思ってたクラスが…………実哉を守ってくれてる。
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