×princess misfortune×
開け放たれた入り口では、ゆっこ&尋香が大号泣で万歳三唱……。


高橋くんと共に、実哉に付き添って来てくれた飾り付け係の姉御肌沢田さんが、



「……やっぱり樹野くんとデキてんのっ?」



ニヤニヤした顔で耳打ちしてきた……。


まさか……。



「覗い……た?」




恐る恐る高橋くんに目をやると、


「ドア、ちょっと開いてた……」


ちょっと慌てて、わたしから目を逸らしながら答える。



その反応が全てを物語っているようで、わたしは一気に赤面した。



「大丈夫大丈夫! わたしと高橋くんしか見てないから!」



盗み聞きはしたけどねぇ~。



あっけらかんとして笑ってる沢田さんの隣で、



「沢田さん悪趣味~」



なんて言いながら一緒になって笑ってる樹野くんの図太さに、思わず深ーーいため息をついた。




「ごめん……悪気は無かったから」



口ごもりながら謝る高橋くんが、唯一の常識人であることに、




いろんな意味で泣きたくなった……。
< 56 / 82 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop