×princess misfortune×
やむを得ない共犯の甲斐あって、実力テストは好感触。



朝のことなんてすっかり忘れて、埋まりに埋まった答案に大満足していた。



「聖偉ちゃ~ん。実哉(みや)が追試になったら付き合ってねぇぇぇ」


SHR前の空き時間。



こう言いながら内股で駆け寄ってきた彼女、実哉は唯一の友達。



派手に染めた金髪を高い位置で二つくくりにして、



短いスカートに、何故かニーハイソックスが彼女のポリシー。


目がクリクリで唇はプルプルで……、可愛いけど頭は悪そうな出で立ち。



実際悪いんだけど……。



それでも、気を遣わないで居られるから友達で居られる。



「ヤだ」


泣き付く実哉をバッサリ切り捨てたわたしに、



「聖偉ちゃん冷たいーー!! でも、好きぃぃ!!」



泣いたかと思えば、すぐに笑ってわたしにギューギュー抱きついてくる。



一人でやたら騒がしい彼女と、静かにしてるけどデカい態度が鬱陶しいわたしは、完全にクラスから浮いてるイロモノ。



それでも、少なくとも男子からの評判は悪くない。



だから余計に女子たちにひがまれるんだけど……。



そんなの両方無視。


< 6 / 82 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop