×princess misfortune×
じわじわと近付いてくる距離に身の危険をバンバン感じる……。


「で、でも。謹慎中の二日間すごいがんばってたって……。わたし居なくても樹野くんなら……ヒィッ!!」


「違うよ。聖偉ちゃん」



予感的中っ!!



わたしとの距離を縮めた樹野くんは、わたしの腕を掴んで自分の方へと引き寄せた。



「聖偉ちゃんが来たときに安心してもらえるようにがんばったの。俺は」



首もとに顔を埋めた樹野くんが低く呟く。



「だから二日分の充電」



首筋に当たる息がくすぐったくて、顔を逸らしたら、



「あっ……」

「…………」

「っっ!!??」




廊下を通っていたニヤけた沢田さんと、顔を真っ赤にした高橋くんと目があった……。




「離せ!! バカッ!! 人がっ!!」



いつも以上に腕に力の入った樹野くんが振り切れず、わたしは慌てて大声をあげる。



それで漸く顔をあげた樹野くんが、廊下の二人と目が合った。



樹野くんは顔色一つ変えず、



「……この先は金貰うよ?」



いつもの爽やかな笑顔で二人に言い放ってしまった……。



「二日ぶりだもんねぇ~。ごゆっくり~」
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